はじめに ======== Postfix バージョン 2.0 ではアドレスクラスという概念を導入しました。 これは配送方法によって受信者アドレスをグループ化するものです。 このアイデアは Victor Duchovni との議論で生まれました。 アドレスクラスの利点は以下の通りです: - 全ての virtual(8) メールボックスドメインを Postfix transport マップで指定する必要がなくなりました。virtual(8) 配送エージェントは local(8) や smtp(8) と同じような一級市民になっています。 - メールゲートウェイシステムでは、外行きのトラフィックから 内部向けのメールリレートラフィックを分離しました。これは 大量の外行きメールがある状態で内部向けメールのリソースが 枯渇する問題をなくします。 - SMTP サーバは、以前の Postfix バージョンで実現できた方法よりも 一貫した方法で知らない受信者を拒否します。 "悪いニュース" のリストはこのファイルの最後にあります :-) Postfix に実装されているアドレスクラスは? ========================================== はじめはアドレスクラスのリストはハードコーディングされて いますが、これは拡張可能になる予定です: ------------------------------------------------------------------- クラス 解説 ------------------------------------------------------------------- local UNIX アカウントおよび伝統的な /etc/aliases 宛 ドメイン名は $mydestination に挙げられているもの (または $inet_interfaces に挙げられた IP アドレス) 知られた受信者は $local_recipient_maps に挙げられます (現在この情報は Postfix SMTP サーバのみが使用します; $local_recipient_maps が空であれば、Postfix SMTP サーバは全ての受信者を受け取ります) デフォルト配送エージェント: local virtual 他のドメインのメールボックスにエイリアスされる、 alias ホスティングされたドメイン宛 知られた受信者は $virtual_alias_maps に挙げられます (Postfix 1.1 と互換性を保つため、デフォルトは $virtual_maps です) ドメイン名は$virtual_alias_domains に挙げられます (Postfix 1.1 と互換性を保つため、デフォルトは $virtual_alias_maps です。) virtual 独自のメールボックスを持つ、ホスティングされたドメイン宛 mailbox 知られた受信者は $virtual_mailbox_maps に挙げられます (このパラメータが空であれば、Postfix SMTP サーバは $virtual_mailbox_domains に挙げられたドメイン宛の 全ての受信者を受け取ります) ドメイン名は $virtual_mailbox_domains に挙げられます (Postfix 1.1 と互換性を保つため、デフォルトは $virtual_mailbox_maps です) デフォルト配送エージェント: virtual relay あなたのシステムが MX ホストとして挙げられている、 リモートの配送先宛 ドメイン名は $relay_domains に挙げられます 知られた受信者は $relay_recipient_maps に挙げられます (このパラメータが空であれば、Postfix SMTP サーバは $relay_domains に挙げられたドメイン宛の全ての 受信者を受け取ります) デフォルト配送エージェント: relay (デフォルトの smtp エージェントのクローン) other 認証されたクライアントからの制限されたメール送信 デフォルト配送エージェント: smtp ドメインテーブルはありません 受信者テーブルはありません ------------------------------------------------------------------- Postfix 1.1 との非互換性 ======================== - virtual_maps は (アドレス検索については )virtual_alias_maps と (以前 "Postfix 形式のバーチャルドメイン" と言われていたものの 名前については) virtual_alias_domains で置き換えられました。 Postfix バージョン 1.1 との後方互換性のため、新しい virtual_alias_maps パラメータのデフォルトは $virtual_mapsに、 新しい virtual_alias_domains パラメータのデフォルトは $virtual_alias_maps になっています。 - virtual_mailbox_maps は現在、(virtual 配送エージェントによって 提供されるドメイン名についての) virtual_mailbox_domains と呼ばれる 対応するパラメータを持っています。virtual_mailbox_maps は現在、 アドレス検索のみに使われています。 Postfix バージョン 1.1 との後方互換性のため、新しい virtual_mailbox_domains パラメータのデフォルトは $virtual_mailbox_maps になっています。 - Postfix SMTP サーバが存在しないリレー受信者へのメールをブロック するための、relay_recipient_maps の導入。このリストはデフォルトでは 空です。 - local_recipient_maps 機能は現在デフォルトで有効になっており、 Postfix SMTP サーバは知らないローカル受信者宛のメールを拒否します。 これはデフォルトで有効です。LOCAL_RECIPIENT_README のヒントと tips を参照してください。 - master.cf での relay 配送方法の導入。これは内部向けメールの メール配送スケジューリング問題を避けるのに役立ちますが、 "defer 配送" 設定を更新する必要があるかもしれません。